不動産の売買契約には大きな金額で契約を交わすことが多いので売買契約締結と不動産を引き渡す時期に分けて支払うこともあり、すべてのお金が支払われるのにすこしタイムラグがあります。そこで今日は特に売買契約時に買主から売主に渡される手付金について基礎知識として知っておいて頂きたいことをご説明しようと思います。
●まず不動産売買の大まかな流れを説明すると…
①不動産購入を決めた買主が買付をいれます。
②買主と売主の間で不動産売買契約が締結されます。この時買主から売主へ手付金が渡されます。手付金の支払いをもって売買契約が成立となります。
③契約書に記載された引渡し時期と同時に買主は売主へ売買価格から手付金分を差し引いて残りの金額を売主へ渡します。
●手付金の意味とは?
手付金の支払いをもって、売買契約が成立します。ある意味、手付金は契約成立の証拠としての役割も果たしています。手付金を支払うことで、契約を結んだ後に簡単に契約を取り消せない意味あいも持っています。
●手付金に関して契約書に記載されることは…
手付金をもって契約が成立したこと意味するので下記の内容が記載されています。
・買い手が売り手に支払う手付金の額と支払方法
手付金の支払い方法は、額にもよりますが、現金で手渡しはそんなに件数としてはありません。銀行振り込みが多くなっており、その場合には、銀行情報なども記載することになります。
・手付金の扱い
売却代金を全額支払った際に、手付金をどうするかについても記載します。
・契約を解除する際の手付金の位置付け
手付金を支払って、売買契約を交わした以上、簡単に契約をなかったものにすることはできません。解除に伴ってどういったペナルティがあるかについても記載します。
・手付金の解除が可能な期限
いつまでなら契約の解除が可能なのかという期限についても記載します。住宅ローンの審査が通らなかった場合についても、記載しておきましょう。
●手付金の金額はいくらにするべき?
手付金の額については、明確な規定はありません。不動産会社が売主となる場合には、売却額の20%を超えてはいけないという規定がありますが、個人が売主となる場合には、そういった規定はありません。
手付金の性質から行くと、あまり低い額では、ちょっと問題があっただけでも簡単に購入をあきらめてしまいそうに思えます。不動産仲介業者によっては、50万円、100万円といった形で金額を指定するところもあれば、売却金額の〇%としている業者もあるようです。
●手付金返還に関する取り決め
手付金を支払って、売買契約を交わした以上、簡単に契約をなかったものにすることはできません。
通常、買い手側の事情で、買い手側から契約を解除する際には、買い手は手付金を放棄しなくてはなりません。その場合、売り手は買い手に手付金を返還しないですみます。
売り手側の都合で契約を解除する場合には、売り手側は、手付金を買い手に返還するだけでなく、手付金と同額の違約金を支払わなくてはなりません。結果的に、手付金を倍返しする形になります。手付金は、契約が終わって支払われたら、好きなように使ってよいという性質のお金ではありません。返還しなくてはならない可能性もありますから、売買対象物件の引き渡しが終わるまでは、大切にとっておきましょう。
●手付金の解除期限
手付金の解除、つまり契約を白紙に戻せる期限も契約書の中に含めておきましょう。
家の購入時には、購入者の多くが、ローンを組んで家を購入します。契約時に、買い手は売り手に手付金を支払います。住宅ローンが正式に決まり、支払いがされると、残金を売主に支払います。
ただし、住宅ローンには審査があります。当然ながら、審査に通らないこともありえます。住宅ローンの審査に通らなければ、お金は借りられず、家の購入をあきらめることになります。そうなった場合、売り手は買い手に手付金を返還して、契約は白紙に戻ります。ローンが通らなかった場合に関する住宅ローン特約についても、契約書に記載する必要があります。
ローン審査には、通常、2週間~4週間程度の時間がかかります。そのため、家の引き渡し時期は、契約を交わしてから1か月ほど後に設定されることが多くなっています。
以上が不動産売買で取り交わされる「手付金」の主な意味あいと契約書の中で決められる事柄についての解説でした。
一般によく聞く不動産関連の用語もあまり詳細を知らず不動産会社から言われるがまま準備していることも多いと思います。今回の説明が今後のお客様の不動産取引にお役に立てることを願っています。